ヘレンド展2017/09/24 18:39

□陶磁器の歴史は、パクり、パクられ。

 笠間の小澤栗園まで、栗を買いに行く。ガードマンが車を整理するほどの盛況だった。折角なので一番良いのを買う。名物の犬部長は、病気療養中とのこと、心配だ。
 陶芸美術館まで足を延ばし、「ヘレンド展」を観賞。
 ヘレンド窯はハンガリーの古窯で、装飾性の高い宮廷食器で名を上げた。大戦や国有化により、何度も存続の危機を迎えたが、技術と芸術性の高さで生き延びて現在に至っている。
 窯の初期からの名品の展示を見ると、中国陶磁器やその日本的再現である伊万里など、さらには、そのまた欧州的バリエーションのマイセンなどの模倣から始まって、やがて独自の芸術性を獲得していった過程が良く分かる。
 逆に、それら東洋の写しから発展した欧州磁器の影響が、今度は日本のオールド・ノリタケなどに反映されるのだから、まさに、陶磁器の歴史は、世界的なパクり、パクられの歴史であったとも言える。
 知的財産権の管理の厳しい現代では、顰蹙ものかもしれないが、互いの模倣と独自の進化により、工芸の多様性が増し豊かになってきたのもまた歴史的事実である、というのが、この展覧会鑑賞後の印象。
 工芸の丘の樹々がうっすらと紅葉しはじめていた。


笠間
笠間


12年前のお薦め地酒2017/09/24 23:32

□熱血!日本酒バカ なんとしても呑みたい食中酒(魚柄仁之助)

 地酒約70本が、著者の呑後感とそれにあうつまみとともに紹介されている。「旭町スタンド」で酒を頼むときの参考にしようと図書館で借りたのだが、呑んだことのある銘柄はあんまりなかった。
 変だなと思って奥付を見たら12年前の刊行だった。
 時代は結構変わるのだ。
 それでも、ぱらぱらと頁をめくっていると、そのころが、「十四代」の成功をきっかけに、大学の醸造科で科学的管理を学んだ新世代の酒造り達が、端麗辛口以降の旨みのある酒造りで、次々と台頭してきた時代であることが良く分かる。
 今を時めく「飛露喜」や「黒牛」も、ちゃんと今後の有望株扱いで紹介されていた。