ペイザンヌ(柏)2017/09/25 22:24

□短角牛は美味しい。

 久しぶりにペイザンヌ。この店は、なんか安心できる家庭的な旨さがあって、時々、行きたくなるのだ。
 今夜は、短角牛のモモステーキと言うのが黒板にあったので、それを頼んでみた。
 大変おいしかった。
 最近は、年を取ったせいか、霜降りより赤味肉の旨さの方が美味しいと感じる。
 つれいあいが頼んだイカとスズキも絶品の仕上がり。
 気楽なピノノアールを頼んだが、肉にも魚にもよくあった。


柏・ペイザンヌ
柏・ペイザンヌ
柏・ペイザンヌ


セザンヌと過ごした時間2017/09/25 23:19

□快傑ゾラではない。

 快傑ゾラならぬエミール・ゾラとポール・セザンヌの物語。
 幼馴染で青年期までは無二の親友であった2人であるが、貧乏であったゾラは、小説家として成功し、名士となる。一方、いつまでも売れない画家のセザンヌは、金持ちの親からも見放され、生活にも困窮していく。
 成り上がる者と零落する者との間の溝は徐々に深まり、ゾラが創作の苦悩と狂気を主題にした「制作」を出版したことにより、決定的な亀裂が生じて絶交に至る。「制作」では、セザンヌをモデルにしたと思しき画家の主人公は、己が才能に絶望して自殺するのだ。
 僕も「制作」を読んだことがあるが、創作に行き詰った一人の画家の敗北の悲劇と読むこともできるが、逆に、作者であるゾラの意図を超えて、具象絵画を突き詰めた先の抽象絵画の誕生の瞬間を描いた作品であるとも読める。読み方によっては、全く正反対の二つの解釈ができる小説なのだ。
 ともあれ「制作」の中で、セザンヌに擬せられた主人公は、決して好意的には描かれておらず、本人が激怒したのも無理はなかった。
 基本的には、おっさん2人の近親憎悪みたいな映画なので、面白くもなく、楽しくもない。ただ、セザンヌが屋外で制作する場面では、フランスの美しい田舎の風景の中で、モデルの美女が戯れるので、そこだけは映像的に美しい。
 余談であるが、このころ、チューブ入りの油絵具が普及をはじめ、これにより、印象派が始めた屋外での油絵制作が可能になったのだが、タンギー爺さん(!)がチューブ入り絵具をセザンヌに売りつける場面がちゃんと入れてあって、時代考証がしっかりしているのに感心した。


セザンヌと私