しあわせの絵具2018/04/21 23:59

□最後はあっさりと肺病で死んでしまう。

 アメリカの片田舎で才能を開花させた素朴派の女流画家モード・ルイスの生涯。
 家政婦代わりにリューマチの彼女と結婚した亭主が、いつのまにか主従逆転されて彼女のお世話係になっているのが可笑しい。モードは、家の前に”Paintings For Sale。”と看板を掲げて、1枚5$で絵を売り始めて名声を得ていく。当時のニクソン大統領も買った。
 常に煙草をくゆらし、最後はあっけなく肺病でなくなるので、反喫煙映画でもある。
 主役を演じたサリー・ホーキンスは、次は、「シェイプ・オブ・ウォータ-」で半魚人と恋に落ちるのであった。

作家の好きな少し変な絵2018/04/12 11:53

□偏愛ムラタ美術館(村田喜代子 2009)

 あんまり美術の教科書には載っていないような、著者曰く「掘り出し物」の魂の絵画についてのエッセイが17章綴られている。
 僕が発見だと思ったのは、元郵便局員で、世界で唯一人生きている活火山を買った男、三松正夫の描く昭和新山の成長記録。実は、北海道旅行の際に新山の麓には行ったのだが、時間の関係で記念館の見学は出来なかった。こんなに凄い絵が収められていたのかと悔やまれる。
 著者の一番推しは、恐らく、表紙絵にもした、彫刻家ブルーデルの描く、ゼウスの化身である白鳥のレダと美女の交歓図のシリーズ。かの北斎の女とタコを思わす危ない構図もある。官能的なのがお好きなのだ。
 これが、みうらじゅんだったら、本のタイトルは、「偏愛むらむら美術館」だな。


村田喜代子


帝都大戦不発2018/04/01 20:07

□アラマタ美術史(荒俣 宏 2010)

 冒頭、我々現生人類(ホモサピエンス)がネアンデルタール人との生存競争に勝ち残ったのは、絵が描けたからではないかという仮説が提示され、以降、絵画の魔法について東西(というか日本と欧州)の歴史がひもとかれる。
 読んでる間は、ふむふむと頷いたと思ったのだが、一か月たってみるとどこに感心したのか思い出せない。うすらぼんやりと、意外にまともな講義だったなあという印象しかないのだ。例えれば、邪かましいセシル・テイラーを聞こうとしたら、端正なエリック・サティが出てきたみたいなもんだ。
 やはりこの人には、怨念に満ちた怪奇面妖な暗黒美術史を話してほしかった。
 昔の奇人も、成功してエスタブリッシュメントになったら、灰汁が抜けた?
 あ、最近の研究では、スペインの洞窟で見つかった壁画は、ネアンデルタール人の描いたものと判明したらしい。彼らの方が先に絵を描いていたのだ。


荒俣宏


「はかせたろう」とは?!2018/03/31 02:24

□芸術新潮【特集】ザ・ヌード(2018年4月号)

 教養と時間はあるが、お金が乏しい退職小父さんは、図書館に行くと、タダでなんとなく知的にまったりと過ごせるので、今日も雑誌架に寄って、「芸術新潮」をぺらぺらと捲るのであった。
 ふむふむ今号はヌード特集か、ありゃ写実主義絵画の元祖クールベは、こんなにスーパーリアルな「世界の起源」を描いていたのか、こりゃ中学校の美術の教科書には絶対載せられない絵だな、この絵だけでも今月号の価値はあるな、などと買ってもいない雑誌を偉そうに批評するのであった。
 特集の終わりには、解説代わりに、人生の三分の二はいやらしいことを考えていた、みうらじゅんと、漫画家・エッセイストの辛酸なめ子の対談が載っていて、でもわりと真面目で物足りなく思っていたら、みうらじゅんが「はかせたろう」をやっていると言い出した。こう聞けば、誰でも人気バイオリニストの葉加瀬太郎に関係していると思うのだが、そんなことは全くなくて、古今東西の有名裸体画の白磁の肌の上に、畏れ多くも黒マジックでレースのブラとパンティーを描き足して、「(パンツを)はかせたろう」というとんでもない遊びだった。
 もちろん作例も載っていて、どんな名画も、黒のブラとパンティを穿かされた瞬間に、場末のストリップ劇場の看板のようないかがわしさに溢れてしまうので、思わず笑ってしまった。こんなことを考えるなんて、みうらじゅんは本当に天才だ。
 それにしても、葉加瀬太郎本人が知ったら、怒り心頭に発するのではないか。

ネアンデルタール人は芸術家!?2018/02/25 01:03

□洞窟のミケランジェロ

 「サイエンス」電子版によると、スペインのラパシエガ洞窟の壁画に含まれる放射性物質を分析した結果、6万4800年以上前に描かれた最古の絵であることがわかった。この時代のヨーロッパには、まだ現生人類のホモサピエンスはいなかったことから、絵の作者は、旧人類のネアンデルタール人と見られている。
 絶滅したと考えられるネアンデルタール人であるが、現生人類と混血していたという研究もあり、意外と、芸術的才能はそちらから伝わっているのかもしれない。


ネアンデルタール人の洞窟画


高木竜馬ピアノリサイタル2018/02/17 18:55

□おまけのショパンが素敵

 千葉県出身のピアニスト、高木竜馬のリサイタルが柏であったので聞きに行ったが、会場は半分も埋まっていなかった。
 演者の名前が知られていなかったことと、入場料が三千円とやや高めだったこともあるが、一番の理由は、当日のこの時刻が、金メダル2連覇を賭けた羽生弓弦のピョンチャン五輪男子フィギア決勝戦と奇しくもぴたりと一致した為であろう。
 我々も予約時に知っていれば、家で観戦していた訳で、仕方がないので小型携帯TVを消音して、こっそり見ながらの落ち着かない音楽観賞となった。
 高木の演奏自体は、力強くも美しい音色で素晴らしく、この奏者の力量が世界レベルであることは十分に分かったが、ベートーベンやショスタコーヴィッチなどの重い曲が多かったせいか、やや地味な印象を受けた。
 中休み明けには、羽生選手が見事金メダルを獲得したことが司会から聴衆に伝えられ、皆が喜ぶ中、アンコールで、羽生選手がSPで演じたショパンの曲が演奏されたのはとても良かった。


アミュゼ柏


贋作者の自伝2018/02/15 01:10

□ピカソになりきった男(ギィ・リブ 2016)
 
 美術専門家に、「もしピカソが生きていたら、彼を雇ったことだろう」と言わせしめた贋作者の自伝。ピカソ、シャガールなどになりきって描いた贋作は、権威ある専門家のお墨付きを得て、今も流通しているらしい。
 フランスの田舎の売春斡旋人の息子として生まれ、ギャングと共に育った絵の上手い子供が贋作者として成功するさまは、まるで悪漢小説のようだ。
 結局は、やりすぎ(粗製乱造)がたたってお縄になったのだが、その後も、映画にルノワールの手の役で出演するなど、なかなか楽しそうな人生だ。
 贋作の腕を磨けば磨くほど、画家としての自分の絵はやせ細るのが切なく、また、フジタの贋作を漢字サインのミスで日本女子に見破られるエピソードがおかしい。


ギィ・リブ


謎の天才画家ヒロニムス・ボス2018/02/13 20:35

□絵が動かないのでつまらん。

 以前に幻想絵画の展覧会で、ブリューゲルの版画の不気味にも愛らしいキャラをアニメのように動かして物語を解説しているビデオを見て面白かったので、それと同じように、本家怪奇幻想聖書的道徳教育絵画が動くのかと思って期待して観に行ったのだが、そんなことはなく、ただ、絵画をなめるように大写しにして延々と専門家が解説するだけなので、さすがの名画でも30分もすると飽きてしまい、ときどき睡魔に襲われる芸術映画だった。、

大堀川散歩2018/02/07 19:41

□今日も結構穏やかな陽気だった。

 葉書を投函しようと外に出ると、思ったよりは暖かだったので、そのまま、今日の東京新聞によると、首都圏で一番河床のセシウム濃度が高い大堀川の遊歩道を伝って、柏の葉公園まで散歩した。
 豊四季台団地から大堀川に入る道の脇の丘で、もう梅が咲き始めている。
 「かしわで」前の中華料理店「心樹」て昼食をとる。
 大堀川から出て、成顕寺の裏手の切通坂を登ると、あの鬱蒼とした竹林がすっかりなくなり、造成されていたので、びっくりする。
 柏の葉公園の隣の「さわやか千葉県民プラザ」で、「柏かわせみの会」のいつもながら見事な写真展を観て帰った。
 

豊四季台団地の梅
大堀川遊歩道
心樹のランチ
成顕寺の裏手切通坂
柏かわせみの会


手賀沼散歩2018/02/04 23:43

□風化は芸術家

 香取神社から手賀沼に抜ける。
 最近にしては穏やかな陽気の日曜日なので、歩行者や自転車で賑わっていた。
 ビジターセンターの看板がすっかり風化し、ウェザリング効果で、古代のモザイク画のようになって、不思議に美しい。
 水面では、二羽の白鳥が仲良く泳いでいた。


手賀沼
手賀沼
手賀沼
手賀沼