ゴッホ 最後の手紙2017/11/07 23:34

□あのゴッホの絵が動く!?

 一応、ゴッホの自殺?の謎を解くというミステリー仕立てなのだが、筋よりも、あのゴッホの絵が、アニメになってぐるぐると動くのが文句なく楽しい。世界初の油絵アニメーション映画だ。
 約百人の画家がひたすらゴッホのタッチで、油絵をせっせと描いたそうだ。
 個人的には、耳切り事件以降の話なので、ゴーギャンの出番がほとんどないのが残念である。


ゴッホ


WITCH2017/10/03 23:32

□空腹時に見る幻想のような映画

 開拓時代の西部、宗教心が強すぎて村から追い出された一家は、森の端を開拓して自活を試みるが、赤子の失踪をはじめ、次々と不幸が襲い掛かり、遂には・・・。
 ミステリーか、あるいは、スティーブン・キングのようなホラーかと思って観ていたが、結局どちらでもなかった変な話。
 ネタバレになるので、詳しく書けないが、魔女は実在したというお話なんだと思う。
 ツレアイは、飢えで気がおかしくなった一家の見た幻なんじゃないかと宣った。多少気に食わないことがあっても我慢して共同体の中にいないと、悲惨な目に会うという訓話かもしれない。
 なお、ヒロインが少しだけ脱ぐ場面があるが、食べ物に困っている割には太っている。また、黒山羊さんが悪玉にされて可哀想である。


WITCH


セザンヌと過ごした時間2017/09/25 23:19

□快傑ゾラではない。

 快傑ゾラならぬエミール・ゾラとポール・セザンヌの物語。
 幼馴染で青年期までは無二の親友であった2人であるが、貧乏であったゾラは、小説家として成功し、名士となる。一方、いつまでも売れない画家のセザンヌは、金持ちの親からも見放され、生活にも困窮していく。
 成り上がる者と零落する者との間の溝は徐々に深まり、ゾラが創作の苦悩と狂気を主題にした「制作」を出版したことにより、決定的な亀裂が生じて絶交に至る。「制作」では、セザンヌをモデルにしたと思しき画家の主人公は、己が才能に絶望して自殺するのだ。
 僕も「制作」を読んだことがあるが、創作に行き詰った一人の画家の敗北の悲劇と読むこともできるが、逆に、作者であるゾラの意図を超えて、具象絵画を突き詰めた先の抽象絵画の誕生の瞬間を描いた作品であるとも読める。読み方によっては、全く正反対の二つの解釈ができる小説なのだ。
 ともあれ「制作」の中で、セザンヌに擬せられた主人公は、決して好意的には描かれておらず、本人が激怒したのも無理はなかった。
 基本的には、おっさん2人の近親憎悪みたいな映画なので、面白くもなく、楽しくもない。ただ、セザンヌが屋外で制作する場面では、フランスの美しい田舎の風景の中で、モデルの美女が戯れるので、そこだけは映像的に美しい。
 余談であるが、このころ、チューブ入りの油絵具が普及をはじめ、これにより、印象派が始めた屋外での油絵制作が可能になったのだが、タンギー爺さん(!)がチューブ入り絵具をセザンヌに売りつける場面がちゃんと入れてあって、時代考証がしっかりしているのに感心した。


セザンヌと私


アニメの世界浸透と拡散2017/09/02 23:10

□オタク・イン・USA-愛と誤解のAnime輸入史
                         (パトリック・マシアス著、町山智浩編・訳)

 カリフォルニア州に生まれ、怪獣とアニメにあこがれた末に東京に在住しているアメリカ人のアニメ考を、東京で生まれ、カリフォルニアに住んでいる日本人が編集・翻訳した、オタクによるオタクのためのオタク史本(住所はいずれも2006年出版時)。
 Anime輸入史とあるが、原作マンガや怪獣映画・特撮ヒーローも扱われており、アメリカにおける日本のポップカルチャーの浸透と拡散の記録となっている。日本側から見れば、アメリカのオタク(NERD、GEEK)コミュニティを突破口にしたクールジャパンの売り込みの歴史とも言える。アニメではないが、失敗に終わった「ピンクレディー」のアメリカ進出も、この流れの中で紹介されている。
 扱われているのは、アトムよりもう少し後の時代、ガンダム、セーラームーン、うる星やつら、攻殻機動隊辺りまでだが、宮崎駿やポケモンなどのメジャーな題材は、さらりと流され、「やおい」マンガの米国上陸などが、オタク的に書き込んであるのが面白い。但し、宮崎アニメのオスカー受賞作を「もののけ姫」としているのは明らかな事実誤認(正しくは「千と千尋の神隠し」)で、著者のオタク力にやや疑問が生じる。
 小池一夫・小島剛夕の「子連れ狼」がマーベルコミックに与えた影響分析などは、日本人では気づきにくい視点として面白かった。高千穂遥の「ダーティ・ペア」もアメリマンガ(アメリカ版マンガ)になり、独自の進化を遂げたようである。
 本書を読むと、今やほとんどの日本のアニメ・漫画・劇画は、米国進出を果たしたように思えるが、何故か、かの過激なレディースコミックについての言及はなかった。著者の趣味に合わなかったのか、あるいは現在、上陸中なのか・・・。
 表紙見開口絵のアニメ・コンベンションに集う全米のコスプレイヤーの写真は、ある種天国のような悪夢のような・・・・それだけでも一見の価値あり。
 OTAKU UNITE!

JAZZ中学生「セッション」?2017/09/01 19:13

□御大のお怒りはご尤もの声高しなれど・・・

 著名なトランぺッター日野皓正氏と小・中学生との共演JAZZイベントで、指揮に従わず、えんえんとドラムソロを続けた中学生を、日野氏がびんた(のように見える動き)で止めさせたというニュースが、週刊文春の記事を契機に、TVでも流された。
 中学生は、最初、スティックを取り上げられ制止されても、なお素手でスネアを叩き続けたというのだから、御大のお怒りはご尤もだが、教育委員会主催のイベントでの体罰?はやはりまずかったようだ。
 僕は、この話を聞いた瞬間に、その中学生は、きっと映画「セッション」ごっこをしたかっただけなのだと思ったが、堀晃氏のブログにも言及があったので、やはりと、意を強くしたのであった。
 中学生にとっては、映画の世界の洒落は、現実世界にはなかなか通用しないことが、今の内に分かったのは、ある意味、幸せであったと思う。

ロメロ監督逝去2017/07/19 12:40

□ゾンビ(映画)の父の死

 「Night of the Living Dead(1968)」をはじめとするゾンビ映画の開拓者として著名なジョージ・A・ロメロ監督が7月16日に、肺がんで亡くなっていた。享年77才、日本では喜寿の年である。
 合掌。
 ロメロ監督は、報道では「ゾンビ映画の父」と紹介されていた。
 すると、母は誰なんだろう?


東北道SA
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沈黙2017/07/02 15:19

□べらべらと英語をしゃべる江戸時代の百姓!?

 遠藤周作の原作を「タクシー・ドライバー」のマーティン・スコセッシ監督が映画化したまさに「文明の衝突」映画。
 一言でいうと「転び伴天連」の話なので、辛気臭い話かと思ったが、さすがアメリカ人監督で、マルコポーロ航海記のような、あるいはロビンソン漂流記のような、秘境冒険物語の娯楽性もしっかりとあって、思ったよりは、変な話、明るく楽しめた。
 驚いたのは、下は百姓から上は奉行まで、はるばるポルトガルから密入国したパードレ(神父)に対して、みんな、なぜかポルトガル語ではなく、英語でべらべらと話すことだ。無論、パードレも英語で応える。なんか変だが、ともかく江戸時代の日本国民の英会話能力は、現代を凌いでいたようだ。
 今の目から見ると、この映画に描かれた、信徒達が天国を信じて嬉々として殉教していくありさまは、当時の徳川政府に、我々が宗教的な自爆テロに感じるのと同じ、底知れぬ不気味さを感じさせたであろうことが容易に想像される。時代の変化というものは、原作者も意図しなかった効果をもたらすもんだ。
 ユダ的役割のキチジローを演じる窪塚洋介がいい味を出している。


6月
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Born to be Blue2017/06/03 23:28

□チェット・ベイカーの物語

 近所の名画座でやっていたので、ウェストコーストの伝説的なJAZZトランぺッター、チェット・ベイカーを描いた音楽映画を観てきた。
 主演のイーサン・ホークは入神の演技で、トランペットは勿論エアーなのだが、本当に吹いているように見える(聞こえる?)し、歌は、自ら歌っている。但し、ホークの声は、本物のベイカーの歌声よりはよほどキーが低いので、劇中、「女のような声で歌う」と揶揄される場面が活きてこないのは残念なことである。
 話は、麻薬の代金を払わなかったために、トランぺッターの命とも言うべき前歯をへし折られたベイカーが、超献身的な奥さんと仲間の助けを得て、JAZZの聖地「バードランド」で、あのマイルスをも唸らせるほどの名演でカムバックするまでの、愛と努力の物語である。
 でも、再起をかけた演奏の前に、極度の緊張に陥ったベイカーは、一度捨てたはずの麻薬を再び打ってしまうので、さわやかな感動作とはならない。これでは、まるで、名演するためには、ヤクが必要だといっているようなものである。
 さらに、JAZZ奏者の菊地成孔の解説では、実際のベイカーには、映画の中のようになんでも許して旦那を崇拝してくれる(男にとっての)理想の奥さんなどはいなかったとのことなので、映画の中の「愛」の部分は嘘である。  
 そんなわけで、なかなかにBlueでBitterな映画であった。
 なお、同時期に作られたJAZZ映画には、マイルス・デイヴィスがマフィア相手に拳銃をぶっ放すという、「MILES AHEAD」なる怪作もあるということなので。これも是非上映してもらうよう、映画館にリクエストをしようかな、と思うのであった。


Born to be Blue


ゲン・ゴジラ(原ゴジ)!?2017/04/15 20:12

□元祖「ゴジラ」を観る。

 近所の映画館で、歴史的な元祖「ゴジラ」を観た。
 白黒なのに、
 CGの「シン・ゴジラ」の自在さに比べれば、
 重たい着ぐるみで、不自由な動きなのに、
 でも、凄い迫力。
 これぞ、ゲン・ゴジラ(原ゴジ)!
 平田昭彦演じる独眼竜の科学者、芹沢博士が格好良い。 
 

ゴジラ
ゴジラ
ゴジラ


エクス・マキナ2017/03/28 22:11

□少々退屈な・・・あるいはガラテアに逃げられたピグマリオン

 会社がはねてから、駅前の名画座で、「エクス・マキナ」を観る。
 AI仕掛けのピグマリオン映画だったが、思ったほど面白くなく、前半は退屈で、後半はドタバタだった。
 結局、生身でもロボットでも、女は怖いという教訓か?
 日本人離れした肢体のキョウコが謎である。