タウ・ゼロ ― 2021/11/11 12:52
□タウ・ゼロ(ポール・アンダーソン/浅倉久志訳 1992文庫版)
(ネタバレ有り)
うろ覚えだが、昔、中山千夏の歌で「とまらない汽車に二人で乗って~」という歌があったと思うが、これは、男女50人を乗せた止まらない宇宙船の話である。
この宇宙船は、減速装置が壊れた結果、止まることが出来ず、ひたすら加速を続けほとんど光の速度になって宇宙を彷徨う。
恐ろしいことに相対性効果タウ・ゼロによって、船外時間は無限の速度で飛び去り、故郷の地球はあっというまに時の彼方で太陽に飲み込まれ、宇宙は収縮に転じ、宇宙船は、ついに時空の終焉、極限にまで圧縮されたモノブロックに辿り着く。
普通に考えると、これで万事休すなのだが、50人の乗員は、知恵と勇気と団結で脈動宇宙の再創造を乗り切り、新たに産まれた地球型惑星で、人類の再生(子作り)を始めるのであった、という波乱万丈、驚天動地の物語である。
原著は1970年発表であるので、ダークエネルギー発見?以降の、今の宇宙論とはなじまない部分もあるが、インフレーション理論の創始者 佐藤勝彦博士は、自著「気が遠くなる未来の宇宙の話」で、ハードSFの金字塔と評価している。
つまり、未だに、気が遠くなる未来の宇宙を描いた傑作なのである。
「三体」の作者も多分読んでいると思う。
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