オミクロン(2)2021/11/29 12:20

□実は欠番だったニューとクサイ

 南アフリカで検出された新型コロナ変異株「オミクロン」の命名だが、ギリシャ文字で15番目だったため、既に14番目の「クサイ」は使われたものと思っていたが、使われているのは12番目の「ミュー」までで、13番目「ニュー」とともに「クサイ」は欠番だったことが今日の新聞で報じられた。
 記事によると、「ニュー」は英語の「new」と紛らわしく、「クサイ」の英語表記「xi]は、中国の習(=英語表記でXi)国家主席の名前と被るために避けられたようだ。
 図らずも僕が冗談で考えた「マクロン株」のような「習株」が存在する可能性もあった訳で、残念(?)なことである。

今昔物語集2021/11/29 12:43

□今昔物語集(作者未詳 大岡 玲訳 2021)

 平安時代に、僧侶によって編纂された、天竺(インド)、震旦(中国)、本朝(日本)に伝わるおよそ千篇の仏教説話を集めた「今昔物語集」、そこから厳選した90編を現代語訳した文庫本である。巻末には、今昔物語集の歴史的な位置づけ等について、訳者の丁重な解説も付いているのでお徳用である。
 仏教説話といっても、釈迦に直接由来の話は天竺編に出て来るくらいで、中心となる本朝編にほ、生臭坊主が活躍し、貴族、武士、盗賊、それにあやかしも跳梁する、平安時代の民話を存分に楽しませてくれる。古代の「遠野物語」である。
 むろん、芥川龍之介が元ネタに使ったことでも有名な、羅生門や鼻、芋粥の話も収められているので、文豪がこれらの題材をどう料理したのかを、リバース・エンジニアリング的に読み解く楽しみもある。
 そういえば、上司に公文書改ざんを命じられたあげく、証拠隠滅に殺される書記官の話も載っている。こういうのは昔からあったのだな。


今昔物語集