日本紀行「開戦前夜」 ― 2025/01/09 02:21
□日本紀行「開戦前夜」(フェレイラ・デ・ジャストロ/阿部孝次(訳)2006)
ノーベル文学賞の候補にもなったポルトガルの作家が、第二次世界大戦前夜に敢行した世界旅行を記した「世界周遊記(1944)」の日本部分を抜き出した紀行文。
軍国化と中国への侵略戦争を進める当時の日本に対し、欧米人の視点から、高慢で共存しがたい黄色人種と辛らつに評しているが、日光、箱根に見られる自然と伝統的な寺社、工芸品の美しさに関しては率直に賞賛している。東郷平八郎の戦績を太平洋最強の海軍力と認めてもいる。
日本人の特性については、創造的な精神には欠けるが、欧米技術に関する迅速な適応と改良で補っていると、褒めているのか貶しているのか微妙な評価をしている。
結論的には、日本はアジアと連携して黄色大陸の新しい神々になれたかもしれないのに、自らが隣人を支配し搾取しようとしているために、アジア人にひどく嫌われていると、まさに大東亜戦争の失敗を正しく予見している。
日本人の僕としては色々気分の悪い記載もあるが、昭和100年の今でも、未だに反省すべき点は続いているのかもしれないとも思った。
最近のコメント