さみしい死体2023/09/16 00:12

□さみしい死体 人と人との「別れ」を見つめて(小池ほたる 2006)

 病院の相談員としてケースワーカーと協力しながら、主に身寄りのない患者たちの最後の面倒を見続けている作者の体験をもとにしたエッセイ集。
 普通に家族に見守られて亡くなる人は、病院の支払いや葬儀なども家族が行うので作者の出番は滅多に来ない。作者がお手伝いするのはほとんどが身寄りがいない(お金もない)、わからない、いても拒絶されている末期の患者である。必然的に、彼らは一人で死ぬ「さみしい死体」となる。
 その「さみしい死体」となる寸前の人たちの縁者に、作者たちはなんとか連絡を付けようと奮闘努力し、時には親子の、時には兄弟の最後の対話を奇跡的に成功させるが、時には失敗して、御骨は「遺骨一時保管場所(無縁仏)」に仕舞われていく。
 読んでいて思ったのは、入院後にあっけなく死んじゃう人も結構いること、身寄りがあっても引き取られない御骨もあることなどである。核家族が当たり前となった今の世では、家族に看取られて死ぬのはかなり幸運なことかもしれない。特に不義理をしなくても「さみしい死体」となる可能性は誰にでも普通にあるのだ。
 独り身の最後の始末をパックにした保険サービスが必要ではないか?


さみしい死体