福田村事件2023/09/04 21:46

□福田村事件(森達也監督 2023)

 関東大震災直後の流言飛語の中、千葉の平和な農村で旅の薬売りの一座が朝鮮人と間違われて虐殺された、史実に基づく映画を震災100年後に見た。
 なんでそんな後味の悪そうな映画を見たかと言うと、舞台の福田村がお隣の野田市(現 三ツ堀)だったからだ。ちなみに巻末のクレジットには同市の撮影協力はなかった。さもありなん。
 実は村の自警団結成のお墨付きとなった内務省の打電ですら、朝鮮人暴徒への警戒と対応を求めていたが、殺せとは言っていない。しかし、デマで恐怖に駆られた村人は、異邦人の虐殺に雪崩をうった。村長にもそれを止める術はなかった。
 信じられないような酷い話だが、今の会社などにおいても、後から考えれば非合理としか言いようのない判断に皆が流され、組織が妙な方向に暴走するというのは、割とあるんではないかなと思ってしまった。
 一度物事が動き出せば個人で抗うことはまず不可能である。そうなる前に冷静に情報の真偽を見極め、妙な指導力を発揮するトリックスターもどきが出て来ないようにするしかないのだが、これがなかなか難しいのである。
 1月に参議院議員を辞職した水道橋博士が、俗人の典型のような自警団長の役をまことにうまく演じている。
(追記)
 もう少し調べてみたら、事件後に検挙された村人8人の内、4人は福田村だが残りの4人は田中村(現 柏市)の住民だった。他所事では無かったのだ。


野田市三ツ堀こうのとりの里
            野田市三ツ堀こうのとりの里
            近くの利根川添いの圓福寺には事件の慰霊碑がある。


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