うさぎが鬼に会いにいく ― 2023/08/27 14:11
□うさぎが鬼に会いにいく(中村うさぎ 2007)
「週刊文春」に、軽妙な筆致ながら、買い物中毒など自らの壮絶な体験を連載して人気だった中村うさぎ氏が、大変癖のある人たちにインタビューしてまとめた本。
最初は、「鬼=人殺し」との対談集にしたかったらしいが、取材に応じてくれる殺人者がそうそう大勢いる訳もなく、結局、佐川一政氏(パリ人肉食殺人)、植垣康博氏(連合赤軍リンチ殺人)、三浦和義氏(ロス疑惑の銃弾事件)でネタ切れとなり、あとは心に鬼を抱えていそうな人くらいにしたようだ。次の11名が収録されている。
・佐川一政(作家)
・植垣康博(元・赤軍兵士)
・三浦和義(作家)
・岡留安則(元・『噂の真相』編集長)
・釣先清隆(死体写真家)
・鈴木邦男(右翼活動家)
・バクシーシ山下(アダルトビデオ監督)
・日野日出志(漫画家)
・マツコ・デラックス(ドラァグクイーン)
・田嶋陽子(女性学学者)
・鈴木啓之(牧師)
一番強烈なのは、やはり佐川氏で、寸評も「平気で嘘をつく男」と凄い。これに対して本人は、「自分を『嘘つき』呼ばわりする中村うさぎは作家ではない」と激怒したそうだ。その佐川氏は昨年亡くなった。日本の殺人罪裁判では無罪となった三浦氏も、本書出版後に渡米先で逮捕され、留置所で自殺した。時は飛ぶ。
冒頭3人に比べれば、後の8人は、鈴木氏(この人も先日逝去)にしろ、日野氏(うさぎ氏の記事はほとんどファンレター)にしろ、異能の人ではあってもしごくまともである、立派な学者もいる。そんな中では釣先氏が一番鬼気迫り、狂気と恐怖を感じた。今やTVの女王となったマツコ氏も入っているが、何かお気の毒である。
おもしろくて、為になる?本。
札幌事件(3) ― 2023/08/27 20:08
□サロメ!?
精神科医の親娘3人が逮捕された札幌首なし死体事件の続報によると、事件後に父と娘はダンスクラブを訪れていたそうだ。家の浴室に置かれた被害者の「首」と併せ考えると、どうしてもヨハネの首を掲げて踊るサロメの絵が浮かんでくる。
三島由紀夫だったらどうこの事件を描写するであろうか?
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