ポストさらりまんが柏日記

□サーブ喜ぶ？

　アカデミー賞作品賞にノミネートされたことで人気が盛り上がった、村上春樹の同名の小説を原作にした演劇的ロードムービー。コミュニティ紙の懸賞で無料鑑賞券が当たったので、観てきた。

　妻を亡くした俳優・演出家は、妻の浮気相手だった若手イケメン俳優を主役にして、チェーホフ原作「ワーニャ伯父さん」の多言語上演を試みるが色々あって、結局女性ドライバーに愛車サーブを運転させて北海道の雪の中を走り回る、というお話。

　映画の最後では、エピローグ的に、韓国に渡った運転手とサーブが映し出され、主人公が犬に変えられた？ことが暗示される。原作にはない場面である。

　映像的な主役は、ただひたすら走る赤い年代物のサーブで、最後は韓国にわたって、大きなヒュンダイのSUVと並ぶとその可愛らしさが際立つ。

　ところで、「ドライブ・マイ・カー（Drive My Car）」は、もともとビートルズのヒット曲で、うろ覚えの歌詞では、女の子が男の子に向かって、「あたいはそのうちスターになるんだから、あんた、あたいの運転手になんなよ」というようなことを能天気に歌うロックンロールだったが、小説と映画では運転手は女性で立場が逆転している。登場人物も全員なにかうじじしており、あの陽気な曲からどうしてこういう物語が出てくるのか、小説家の頭の中は謎である。

　また、映画の中では、「Drive My Car」は一瞬とも流れていない。「ノルウェーの森（Norwegian Wood)」のときもそうだが、小説や映画に楽曲のタイトルを拝借した時には、著作権はどうなっているのであろうかと気になった。ググってみたら、タイトルには著作権は発生しないそうだ。