高島野十郎展2021/07/25 20:28

□揺らめく蠟燭

 明治の福岡に生まれ、東大農学部を首席で卒業しながらも、画家を目指して渡欧し、帰国後は青山にアトリエを構えて暮らすも、東京オリンピック(1964)に向けた再開発に押されて増尾の地に引っ越し、柏ゆかりの画家となった高島野十郎(1890-1975)の展覧会を、パレット柏で観てきた。
 緻密で写実的な風景画が特徴だが、晩年には抽象と見まがう太陽や月の絵も描いた。最も特徴的な作品は、生涯にわたって描き続けた一連の小さな蝋燭の絵、展覧会には出さず、友人等に贈っていたそうだが、確かに、唯一の類の絵である。


高島野十郎