ハコウマに乗って ― 2024/11/04 23:16
□ハコウマに乗って(西川美和 2024)
女流映画監督のエッセイ。前半はスポーツ誌「ナンバー.」に連載していたので、スポーツ観戦や東京オリンピックの話が、後半は本業の映画の話が多い。穏やかな人柄なのか、コロナ下の苦労や邦画環境の脆弱さが淡々と語られる。
映画の国内売り上げの七割は劇場と配給会社に回されるので、制作費の回収は国内興収だけでは難しく、出資者は出来るだけ少ない予算で映画を撮らせようとするという。ということは、邦画ではヒットと呼ばれる30億円を売り上げても10億円で作らなければ赤字になるということらしい。
近年問題となっている映画業界におけるセクハラ、パワハラ問題や、インティマシー・コーディネーターの導入も、国家政策として映画を考えている韓国に比べて遅れているという。勿論情けない話ばかりではなく、僕がこの前見た「八犬伝」で、滝沢馬琴を演じた役所広司に関する高い評価も書いてあって嬉しかった。
表題のハコウマとは、撮影現場に必ず置いてある足場などの代わりに便利に使える木箱のこと。今日も筆者はハコウマに乗って映画を撮っているのであろう。

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