京アニ裁判2023/09/08 00:48

□令和の金閣寺?

 令和の始まる年に「京都アニメーション(以下「京アニ」)」に放火し、アニメータなど36人を殺害した青葉真司被告の裁判が始まった。ニュースを見ながら考えたのは、実際の放火事件に基づいた三島由紀夫の「金閣寺」だった。
 あの小説では、金閣寺の絶対的な美と一体化することを望んだ若き仏僧が、言わば無理心中を企てるように憧れの寺に放火する。
 「涼宮ハルヒの憂鬱」など京アニ作品の熱烈なファンであり、原作者としてその世界に参加することを切望したであろう青葉被告も、同社の小説公募に落選した時に拒絶されたと感じ、憤怒と愛憎を伴って放火したのではないかと。
 自身、極度の火傷を負って瀕死状態であった被告を、最高水準の医療は、極刑が予想される裁判に耐えられるまでに回復させた。結審は年明けとされる。
 すべてが終わったころ、誰かが鎮魂の小説を書くのであろうか。