奇談蒐集家 ― 2021/07/05 18:45
□奇談蒐集家(太田忠司 2008)
「蒐集」は「しゅうしゅう」と読み、意味は「収集」と同じだが、趣味のものを集めるときによくこの漢字が使われる(そうだ)。「遺品博物館」が面白かったので、同じ作者が前に書いた「奇談蒐集家」も読んでみたら、やはり静かに面白かった。
時空を超越してときおり路地裏に出現するバーでは、主人が「求む奇談」の新聞広告に釣られて訪れてくる人々から数々の奇談を聞き出すが、メフィストのごとき冷徹な助手は、論理的に身も蓋もない謎解きを行い俗世的な真実を暴き出す。しかし、その謎解きを真に受けた訪問者は、ときに、さらに不幸になっていくのであった。
この作者の持ち味が、純粋な推理作家というよりは、厳密な論理考証と思わせて実は奇妙な世界に招き入れることだと良く分かった。さもありなん、作者のデビューは「星新一ショートショート・コンテスト」だった。
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