ドラキュラ・シンドローム2024/01/31 14:24

□ドラキュラ・シンドローム 外国を恐怖する英国ヴィクトリア朝
                         丹治 愛(2023(文庫版))

 ドラキュラを題材に19世紀末イギリスの外国恐怖症を分析した文学研究。もともとが学術書なので文章は硬く読み辛い。引用文献も当時の風刺画も含めてんこ盛りである。つまり大変よく調べてあるので、これからドラキュラをネタに何か創作したい人は読んでおいて損はない、と思う。
 僕が理解した範囲では、ブラムストーカーの「ドラキュラ」とは、植民地支配を進めてきた大英帝国が、いつかアジアからしっぺ返しを受けるのではないかという恐怖を背景に、当時急増していた東欧ユダヤ難民に対する警戒とコレラ流行への危機感が魔人の形をとったものという趣旨のようだ。例えば、ドラキュラがユダヤ人のステロタイプであるカギ鼻であることを指摘している。
 しかし、今に至るも、ドラキュラは、欧米はおろかアジアを含めて世界中で大人気である。この普遍的な人気の源泉についての言及がないのは少し残念。


ドラキュラシンドローム


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