花鳥の夢2021/12/06 02:45

□花鳥の夢(山本兼一 2013)

 戦国末期から江戸時代まで、日本の絵の頂点に君臨した狩野派の総帥、狩野永徳を主人公に、台頭するライバル長谷川等伯とのし烈な争いを縦糸に、織田信長を始めとする強烈なクライアントとの関係を横糸に描いた画家の一生。
 京都の貴族はけちなので、使い勝手の良い屏風絵は頼んでくれても、高価で陽にも焼けやすい襖絵はなかなか注文してくれないとか、古今東西の下絵やスケッチを集めた「粉本」が工房の財産だったとか、作者が詳しく調べたと思われる、昔の画工房のあれこれがが色々書いてあって面白かった。
 惜しむらくは、絵描き心理の描写はやや類型的であった。この辺は、原田マハの方が上手い。村上春樹も別の意味で上手い。
 永徳が娶ってすぐの妻を描きながら、丸顔の女は美人ではないなと思う場面がおかしくも印象に残った。日記にでも書いていたのであろうか?


花鳥の夢


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