コクトー、1936年2025/03/14 12:10

□コクトー、1936年の日本を歩く(西川正也 2004)

 ヴェルヌの80日間世界一周を地で行く「私の80日間世界一周(1936)」を敢行したフランスの詩人ジャン・コクトーの、日本での7日間に焦点を当てた一冊。以前に、ポルトガル人作家が大戦前夜に敢行した、「世界周遊記」の日本滞在部分を読んだが、戦前の日本の状況を外国人が見た紀行として共通するものを感じた。
 ともに、日本の伝統文化や美意識を賞賛しつつも、帝国主義化を進める日本について、不安と懸念を示している。コクトーの方は日中戦争以前の来日なので、それほど明確ではないが。
 コクトーの来日は、奇しくも喜劇王チャップリンの来日と同時だった。巴里の盟友、藤田嗣二や仏文学者堀口大學の案内で相撲、歌舞伎を楽しむとともに、日本の若い芸術家とも交流している。フランスでもまだ大家とは看做されていなかったコクトーであるが、すでに画家東郷青児の訳による「おそるべき子供たち(1930訳)」により日本での人気は高く、高名な文学者として各地で歓待された。
 詩人も大衆も、芸術を介在として楽しく交流していた筈だったのに、1941年、真珠湾攻撃により、日本人は、コクトーやチャップリンの故国と戦争を始めるのであった。


コクトー


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