カラバッジョ巡礼2021/03/14 20:04

□カラバッジョ巡礼(宮下 規久朗 2010)

 殺人まで犯した無頼の天才、カラバッジョの絵をイタリアに訪ねる画文集。
 その絵は、確かに凄い迫力なのだが、かなり血なまぐさい絵もあり、壁に掛けて飾りたくはならない。なんというか過剰なのだ。
 なんでだろうと思って、本を捲っていて気が付いたのは、何も描かれていない空間の扱いに関する彼我の違いだ。
 日本は、水墨画に端的に示されるように、何も描かない空間は地のままの白で残す。この地の白は、塗り残しではなく、色即是空のすべての色が含まれる、光の三原色が合わさった仏の白光だ。豪華絢爛な屏風絵の金色も地の色、いわば白地のバリエーションであろう。例えば、カラバッジョと同時代の俵屋宗達の、風神と雷神の間には、ただまばゆい金色が朗らかにある。
 対して、彼の地の絵描きは、ドラマチックな表現を励起するために、また天上からの光を強調するために、地を黒で塗り込める。それは、禍々しさも含めて神羅万象を塗り込めた濃密な闇だ。地獄の景色が隠れていると言っても良いであろう。
 ローリングストーンズの前から、西洋は、「黒く塗れ(Paint It Black)」だったのだ。
 それにしてもこのコロナ禍、本物を見たくてもなかなかイタリアには行けないなあ。
 

カラバッジョ巡礼
カラバッジョ巡礼


ルクープル2021/03/14 20:28

□柏の料理の鉄人のお店

 かつてポールボキューズ・トーキョーのグランシェフを務め、柏の料理の鉄人と名高い佐々木シェフのお店「ルクープル」に、本当に久しぶりに訪れた。たぶん15年ぶりくらいである。
 メインに常陸牛のステーキをどんと置いたコースを頼んだが、前菜の金目鯛のカルパッチョが殊の外素晴らしかった。さすがのグランメゾンの味である。
 ステーキも勿論美味しかったが、やはり和牛はソースがらみのフレンチで食べるよりは、あさりと塩胡椒、炭火焼の方が向いていたかもしれない。すごく良いナイフを使っているのに、研いでないので肉切りに苦労したのが少し残念。
 次は、普通のコースを試してみよう。


ルクープル
ルクープル
ルクープル
ルクープル