走る即身仏2020/12/07 18:54

□マラソン

 TV中継でマラソンを見た。
 マラソン選手は皆がりがりに痩せている。
 なんとなくふっくらとしている水泳選手とはえらい違いだ。
 ふと、「走る即身仏」という言葉が脳裏に浮かんだ。
 ちなみに、競歩は、「歩く即身仏」と云うことになる。

楽園のカンヴァス2020/12/07 18:59

□楽園のカンヴァス(原田マハ 2012)

 原田マハが自らSFならぬAF(ArtFiction)と名付けた手法を確立させた、初めての長編小説。たぶん最初に(良く)売れた本だと思うので、作者の出世作といって良いであろう。ルソーの隠れた名作をめぐるミステリー仕立ての、女と男の、そして鑑賞者と絵画の恋物語である。
 どこが面白いかと言うとネタバレになるので言わない。
 僕は、推理小説の最初の数ページに出てくる犯人の名前に、鉛筆で薄くマーキングしてから他人に貸すような人ではないのである。


楽園のカンヴァス


新潮と芸術新潮2020/12/07 19:41

□「新潮」・「芸術新潮」2020年12月号

 「新潮」と「芸術新潮」の12月号は、ともに「三島由紀夫没後50年」の特集である。
 文芸誌の「新潮」の三島特集はある意味当然だが、アート専門誌の「芸術新潮」も特集を組んだのには驚いた。ちなみに、両誌ともに、「ヤマザキマリ+とり・みき」の漫画を連載しているので、僕は毎号(図書館で)そこだけ愛読している。
 さて、両誌の三島特集であるが、印象に残ったのは次の2点。
 ・「豊饒の海」論 平野啓一郎(新潮)
 「宴のあと(1960)」でモデルの有田八郎からプライバシー侵害で訴えられた三島は、裁判で原告から「三文文士」と罵倒された(「人をモデルにすると言っても、鴎外、漱石ほどの作家ならともかく、そこらの三文文士が・・・」)。三島は、三文文士呼ばわりされたことに後々までこだわり、自分でもそのことを書き残していた。
 知らなかった、原告の有田も相当な者である。
 ・自衛隊市ヶ谷駐屯地へ突入した三島と「盾の会」4名の記念写真(芸術新潮)
 4名の顔は、目線にモザイクを入れられることもなく鮮明のままで、実名も付して掲載されている。三島とともに自刃した森田必勝は、質実剛健、朴訥な感じであるが、写真で一番目立っているのは古賀浩靖であった。モノクロ写真にも関わらず唇の紅さが匂うような美青年である。三島と森田を一太刀で介錯したこの男のその後をネットで調べたら、2年の服役後に神主の資格をとり宗教家となっていた。