JUNK WORLD ― 2025/07/23 16:27
□JUNK WORLD(堀 貴秀監督 2025)
ほぼ一人で作り上げた処女作の人形アニメ「JUNK HEAD(2017)」がファンタジア国際映画祭で受賞して一躍脚光を浴びた堀監督の、満を期して公開した第2作。
前作の成功で資金が確保できたらしく、スタッフ数も6人に増え、3Dプリンターやモーションキャプチャーなど最新技術も取り入れて、人形アニメの造形も垢抜け動きも滑らかになっていた。特撮ファン大好きな爆破シーンも惜しげなく使われていて豪華だ。今回は台詞もちゃんと入っている。
しかし、美術と技術が洗練された分、前作にあったおどろおどろしい手作り感が薄くなったのはやや残念。話も複雑になっていて、時間遡行と並行世界を組み合わせたアイデアは盛り込みすぎて少しがちゃがちゃしていた。
進化したのはキャラクター、ダークな人型キャラクターが増えて大活躍する、楽しい。この2作目が売れれば、いよいよ作者構想3部作の最終章が拝めるらしい、刮目して数年後を待とう。

MI ザファイナル・レコニング ― 2025/06/22 22:54
□ミッション:インポッシブル - ザファイナル・レコニング
(クリストファー・マッカリー監督 トム・クルーズ主演 2025)
ギネスのパラシュートスタントの記録を作ったトム・クルーズが、吹き替えなしで走ったり飛んだり潜ったりするスパイアクション映画。60代にして鍛え抜かれた腹筋を見せるために半裸にもなる。
悪のAI対人間と言う、本来能天気なヒーロー映画の筈が、奇しくもアメリカがイランの核施設をバンカーバスターで直接爆撃した直後の観劇だったので、全面核戦争勃発危機という映画の設定が絵空事と思えずリアルに怖かった。
映画の中の黒人女性大統領は悩みつつも、主人公イーサン・ハントに世界の命運を託すのだが、これが今の大統領だったら全く別の結末になったかも(汗)。
初めてIMAX(600円高)と言うので見た、画面はでかかった。

国宝 ― 2025/06/15 23:23
□国宝(李相日監督 2025)
一言で言えば歌舞伎の映画、絢爛豪華な女形の芝居がスクリーン全面に展開される。主演は隣の便所を借りた吉沢亮さん、相当な費用が掛かったと思われる大作なだけに、もし起訴されていたら偉い騒ぎになっていたであろう。共演の横浜流星ともども吹き替えなしの踊りは見事であった。
歌舞伎の制作と興行は「松竹」の専売であるが、この映画の配給は「東宝」であった。「松竹」の本作への関わり方に興味がつのる。

Flow ― 2025/05/18 18:48
□Flow(ギンツ・ジルパロディス監督 ラトビア等 2024)
(注: ネタバレ有り)
ラトビア人監督がオープンソースのブレンダーを使って低予算(約5.5億円、スタッフ50人)で作り上げた手作り的CGアニメ。巨費を投じたディズニーアニメを凌駕して今年のアカデミー賞・長編アニメーション部門を受賞したことで話題になった。
突如起きた大洪水から逃れるべく、猫と犬とカピバラと鳥と猿が一隻の船に呉越同舟して漂流する、いわばイヌネコ版のノアの箱船だ。人間が登場しないため、台詞は一つもない(猫はニャーと鳴く)が筋はちゃんとよく分かった。
予算の限界かソフトの限界か、キャラクターの毛皮や洪水の表現に、大予算CGに見られるような実写と見紛うリアルさはないが、逆にアニメ本来の造形を取り戻したとも言える。最後の場面ではようやく生き延びた猫達にまた洪水が襲い掛かり、無限ループの可哀そうな話になるのかと思わせたがさすがにそうはならなくて良かった。
登場する不思議な鳥や破壊と再生を暗示する場面などに、ジルパロディス監督が自ら語っているように、宮崎アニメの影響もうかがえる。
観てよかった。

教皇選挙 ― 2025/05/11 18:06
□教皇選挙(エドワードベルガー監督 米英合作 2024)
今話題の映画「教皇選挙」を観て来た。8日に決まった新教皇レオ14世も選挙前に(予習のため?)観たという、まさに公開のタイミングがドンピシャの映画だった。
ふむふむ、2000年の歴史を誇り、最も長続きしている組織と言われるカトリックの教会の長はこうやって選ばれるのかと、いろいろ勉強になった。ある意味俗っぽいので安心?もした。
退屈な映画かもと心配したが、次々と難題が生じるミステリー仕立ての展開で飽きさせず、最後はあっと驚くどんでん返しまであった。話題性と日曜日の所為か、駅前の名画座、今まで見たこともないぐらい満席だった。

映画ドラえもん ― 2025/05/02 20:18
□映画ドラえもん のび太の絵世界物語(寺本幸代監督 2025)
ゴールデンウィーク中にも関わらず結構な雨だったので、濡れずに済む映画館でアニメを観て来た。ドラえもんとのび太君と仲間たちが、今は失われた中世のアートリア公国を描いた絵の中に入り込み、お姫様を助けて巨大な赤い龍と戦う冒険譚。
最初は、ゴッホやムンクなど名画の世界の中に入り込む「カンヴァスの向こう側(フィン・セッテホルム、2013)」のような話かと思ったが、そうではなかった。異世界冒険談なのだが、その世界の主人公に若き絵師を置いているので、絵を描く意味に関するアニメ(Motion Picture!)にもなっている。前作「のび太の地球交響楽(2024)」が音楽を取り戻す話だったので、今回は絵にしてみたようだ。
筋、作画とも非常に良く出来ていて、思わず感動してしまった。

パプリカ ― 2025/03/04 18:46
□パプリカ(今 敏監督、筒井康隆原作 2006)
肌寒い雨の日は古いアニメでも見ようと思って、駅前の映画館に行った。
他人の夢の中に入り込めるサイコセラピストの冒険談、一応、マッドサイエンティスト発明の最新インターフェースの力を借りてと理屈付けしてあるが、どんどん夢と現実の境がなくなってくるので、見ている分には超能力活劇である。
つまり、「AKIRA(1988)」や「攻殻機動隊(1995)」の系譜を継ぐ、超能力アニメと言ってよいと思う。19年前のアニメだが、筋立ても作画も古びていないので、違和感なく楽しめた(二つ折りのケータイはでてくるけど)。
主人公たちが幸せになるハッピーエンドだったけど、筒井康隆の原作も本当にそうなのか、今度読んで確かめてみよう。なお、この映画と同名のヒット曲(米津玄師 2018)とは関係なさそうだ。

イメージ写真
八犬伝 ― 2024/10/28 19:23
□八犬伝(曽利文彦 監督 2024)
かのジュサブローのNHKテレビ人形劇「新八犬伝(1973-75)」に魅せられた曽利監督が、山田風太郎の原作「八犬伝(1983)」に出会って作り出した幻想時代劇。
映画は、作り物、「虚」である八犬伝の物語と、戯作者、滝沢馬琴が画家、葛飾北斎と交流しながら物語を紡ぎだす「実」の過程が交互に展開しながら、虚実の被膜で人は何故物語るのかを語る、物語の物語、メタフィクションとなっている。
物語八犬伝の場面は、監督お得意のVFXも駆使した爽快なチャンバラとおどろおどろしい玉梓が怨霊が楽しめる。一方、映画の中での実話である馬琴(役所広司)と北斎(内野聖陽)の掛け合いでは、名優の演技が楽しめる、が少し長い。
とても面白い映画だったが、かつての薬師丸ひろ子@「里見八犬伝(1983)」のような圧倒的アイドルが出演していないせいか、入りは今一だった。もっと観てほしい。

侍タイムスリッパ- ― 2024/09/27 20:38
□侍タイムスリッパ-(監督等 安田淳一)
第2の「カメ止め」(「カメラを止めるな!(2017)」と評判がうなぎ登りの低予算SF時代劇「侍タイムスリッパ-」を観て来た。内容はまんまタイトル通り、幕末から現代の時代劇撮影所にタイムスリップしてきた侍の活躍であった。
大変面白かった。真田広之プロデュース・主演の米国TV大作「将軍」が今年のエミー賞を総なめしたことも時代劇への追い風となって、さらに売れるのではないか。

美食家ダリのレストラン ― 2024/09/25 16:22
□美食家ダリのレストラン(ダビッド・ブジョル 2024)
もしも、「エル・ブジ」の料理長フェラン・アドリアが、美食家としても知られるサルバドールダリに料理を供したらという設定の、SFならぬFF(フード・フィクション)。
海端のレストランで美味しそうなお皿がたくさん出てくるが、残念、「至福のレストラン トロワグロ」の時のような、レストランとのタイアップはないので、観るだけである。

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