マティスとルオー ― 2022/08/23 11:50
□マティスとルオー 友情の手紙
(ジャクリーヌ・マンク 編、後藤新治 他訳 2017)
マティスとルオーが同時代のフランスの作家であることは勿論知ってはいたが、2人がギュスターヴ・モロー教室以来の仲だったとは知らなかった。特にマティスは、息子が米国で画商となったこともあり、展覧会の開催や絵画の所有権裁判、贋作問題で親身にルオーを助けたようである。晩年には、お互いの健康を気遣っている。
驚くべきは第二次世界大戦中の手紙の内容で、ナチスドイツ占領下にも関わらず、展覧会や画集出版の相談をしているのは大したもんだ。芸術談義はあまりでてこない、ルノアールの至言「黒は色である」を銘打った展覧会の話題くらいである。
往年のルオーを悩ませた剽窃者として、モロー教室同期のボノムの名前が度々出てくる。ネットで絵を検索したが見つからなかった。完全に忘れられた画家であるが、この往復書簡集によって不名誉ながらも記録に残った。不思議なもんである。
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