原発亡国論2021/05/08 20:17

□原発亡国論-3.11と東京電力と私-(木村俊雄 2021)

 10年経って、いまだにあの過酷事故の全容が完全に解明されたとは思えない1Fについて、そこで炉心設計(核燃料棒の配置)に従事していた元東京電力のエンジニアが書いた本ということで、興味を持って読んだが、特に新しい解析はなかった。
 著者は、東電在社中に、津波による電源喪失の懸念を上司に進言したが取り上げられず、退社して原発の危険性を訴えた。そのため、津波によるメルトダウンを事故前に予言した唯一の専門家として注目された。
 本の主張は、徹底した省エネと可能な限りの自家発電生活により、巨大電力のグリッドから離れて脱原発に進もうというもの。原発推進の元凶として、資産ベースで「適正利潤」が保証される「総括原価」方式をあげている。


原発亡国論


眼鏡の新調2021/05/08 22:17

□葉加瀬太郎とお揃いか?

 目を手術したので、ニコライ堂の見える眼鏡屋で眼鏡を新調した。
 今回は、網膜を保護するために薄い色のついたレンズに替えた。少し高かった。
 TVの音楽番組で葉加瀬太郎を見たら、知らない間に色のついた眼鏡に替えている。同じ穴の狢か、体形も似てきたな、歳を経るとはこういうことかと思う。

上野駅公園口2021/05/08 23:00

□上野駅公園口(柳 美里 2014)

 (ネタバレ有り)
 昨年、全米図書賞を受賞したことによって、日本でも評判が逆輸入された形で話題になった本。上野には、展覧会やコンサートで訪れるので、気になって読んでみた。一言でいうと、上野のお山に住み着いて、鉄道自殺した初老のホームレスの、それでもまだ公園に漂っている、彷徨える魂のモノローグである。
 東北から出稼ぎに来てまた田舎に戻って、しかし年老いて、愛する孫に迷惑をかけないようにと、死に場所を求めて再び上野に流れ着き、しかし、孫は東日本大震災の津波で攫われてしまうのだから、全く救いのない話だが、不思議と読後感は爽やかである。人生に対する諦念と愛情が感じられたからであろうか、僕が年取ったからであろうか。文章はとても上手く、一気に読んでしまった。
 今日、主人公が最後の住まい(段ボールハウス)を構えた摺鉢山を聖地巡礼してみたが、オリンピック(どうなるのだろう?)に備えた公園口の整備工事の際に特別清掃されたのか、ブルーシートや段ボールの跡形も見当たらなかった。


上野駅公園口
上野公園摺鉢山
上野公園摺鉢山
上野駅公園口