君はフィクション2021/01/17 02:12

□君はフィクション(中島らも 2006)

 酒場の階段から2004年に落ちてなくなった日本のビートニク、中島らもの死後に組まれた短篇集、熱心ならもファンが買っても損はないように、未発表の書き下ろし2点(*印)が含まれている。
 ・山紫館の怪: 僻地の宿で地図業者が収集する怪異とは
 ・君はフィクション: 巻末の解説によれば躁うつ病の経験に基づいた作品
 ・コルトナの亡霊: 絶対的な恐怖映画に対峙した新聞記者は
 ・DECO=CHIN: この世のものとも思われないスーパーバンドに圧倒された僕は
 *水妖はん: 沼に潜む怪物を退治するが
 ・東住吉のぶっこわし屋: 日常的に怖い「激突」人間版
 ・結婚しようよ: タイトルそのまんまの明るい青春談
 ・ねたのよい-山口富士夫さまへ: ロッカーへのオマージュ
 *狂言「地籍神」: 新境地への挑戦、言語実験
 ・バッド・チューニング: 共感できる意味のない失敗
 一番強烈なのは、幻想とも狂気とも区別のつかない、ウィリアム・バロウズの描く絵にも似た「DECO=CHIN」。自主規制圧力の強い今では、色々な意味で書けない作品であろう。一番気に入ったのは、水木しげるとラブクラフトを混ぜたようなとぼけた味の「水妖はん」。それにしても惜しい人をなくしたものだ。

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