バットランド2021/01/05 18:49

□バットランド(山田正紀 2019)

 山田正紀の比較的新しい短篇集。
 ・コンセスター: 人体兵器化の被験者となった若者の悲劇
 ・バットランド: 認知症の老人は蝙蝠と一体となって宇宙を救う
 ・別の世界は可能かもしれない。:少女と知能ネズミ、ミュータント同士の一騎打ち
 ・お悔みなされますな晴姫様、と竹拓衆は云った: 秀吉の影にいた超能力者集団
 ・雲の中の悪魔: 絶対神、万物理論知性体の支配から脱却せよ
 の、五編を収録。

 僕が一番面白かったのは、やはり表題作の「バットランド」。
 お約束通りのマッドサイエンティストも出てくるし、最新物理学を引用したほら話も楽しい。関係ないが松戸在住の科学者はマツドサイエンティスト。
 作者の初期の作品には、蝙蝠の超音波で警報装置を攪乱させて原子力発電所に侵入する話もあり、蝙蝠が好きなのだろう。
 映像化すると面白そうなのは、「別の世界は可能かもしれない。」。
 豪雨がなだれ込んでくる地下鉄線路を轟音を発して進むポンプ機関車、その車上で対峙する超能力ネズミと超能力少女の戦いは、かなりスペクタクルだろう。
 ここでは、蝙蝠ならぬネズミが出てくる。作者はやはりこの手の小動物が好きみたいだ。次回作の主人公はスーパーモモンガか、それともハム太郎とのコラボ?


山田正紀