リーチ先生2020/10/24 20:35

□リーチ先生(原田マハ 2016)

 原田マハの美術史に基づいたフィクション、本人曰くSFならぬAF(Art Fiction)は、面白いのとつまらないものとの差が結構あると思うが、これは面白かった。失礼ながらつまらなかったのは週刊誌に連載された、松方コレクション返還秘話の「美しき愚かものたちのタブロー」、やはり、主人公がコレクターより作家の方が、感情移入し易く、物語に入り込み易いのだ。
 本作の主人公は、そのものずばりのリーチ先生=バーナード・リーチである。リーチが柳宗悦ら白樺派との交友の中で陶芸に目覚め、陶芸家となって母国イギリスに帰国して自らの理想の工房「リーチ・ポタリー」を興すまでの波乱の生涯を、彼の良き助手であり弟子であった(架空の)日本人、亀乃介の視点から描いている。
 リーチが窯を開いていた我孫子の隣に住む僕は、勿論、バーナード・リーチの名声と作品は知っていたが、日本で陶芸家になったとは知らなかった。来日した時には単なる画学生だったのだ。また、若かりし濱田庄司が帰国するリーチとともに渡英して、4年間リーチ・ポタリーの立ち上げに協力していたことも知らなかった。人間国宝 濱田庄司、実は大変な国際派だったのだ。


リーチ先生


コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。

名前:
メールアドレス:
URL:
次の質問に答えてください:
「手賀沼」の読み方は? ひらがなで答えてください。

コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://eastworld.asablo.jp/blog/2020/10/24/9309365/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。