ゴジラの音楽神2018/10/23 00:47

□伊福部 昭:ゴジラの守護神・日本作曲界の巨匠
          (文藝別冊/KADOKAWA夢ムック)(片山杜秀編 2014)

 言わずと知れたかのゴジラ映画の音楽を一手に引き受けた、本当の意味での日本の誇るべき大作曲家、伊福部 昭の人物と楽曲を紹介した研究書。伊福部の音楽的原点がストラヴィンスキーであることなど、なるほどと思う。
 有名なゴジラのテーマが「ドシラ、ドシラ」の繰り返しであるとは、本書で初めて知ったが、これを逆に弾くと「ラシド、ラシド」となるので、有名なシャンソン「枯葉」の出だしとなるので面白いなと思った。


伊福部昭


男おいどんのステーキ2018/10/23 02:03

□マンガの食卓(南 信長 2013)

 古今東西(と言っても日本だけだが)のマンガに描かれた食べ物を系統分類的に解説したグルメマンガの入門書・研究書。
 「男おいどん(松本零士)」に登場する、縦だか横だか分からない巨大サイコロ型ステーキを実際にフライパンで作るも、中まで火が通らずに失敗する実証研究の件が可笑しくも悲しい。

 
マンガの食卓


積み木以上建物未満2018/10/23 02:12

□オン・ザ・ウェイ-川俣 正のアートレスな旅(川俣正 2008)

 今や検索で「ON THE WAY」をかけると、「On the way to Living Dead(北大路みみ)」が出てくると思うし、それはそれで面白そうなゾンビ漫画なのだが、川俣 正の「ON THE WAY」は、それとは全く関係なく、世界各地で、巨大な積み木のような建設現場のような廃墟のようなインスタレーションを手掛けるアートレスな芸術家(言語矛盾だな)の制作日記である。
 拾い読みすると面白いので、川俣氏には、毎年開かれる我孫子国際野外美術展にも出品してほしいものだ。


ontheway


ルーツ of Kawaii2018/10/23 23:17

□内藤ルネ自伝 すべてを失くして(2005)

 古くは竹久夢二から、今の少女漫画にいたるまで、延々と引き継がれた美少女の系譜、中原淳一に見出された内藤ルネは、雑誌「ジュニアそれいゆ」の表紙絵等を通じて、そこに「可愛い」という価値観を植え付けていく、「薔薇族」の表紙絵で、美しい男を描きながら。
 広義のファッション界において、一つの時代を作り生き抜いたイラストレーターの自伝であるとともに、ゲイであることを告白した優れたLGBT論でもある。
 「新潮45」で問題になった生産性信者の国会議員やその応援団の文藝評論家は、発言の前に、この本を読んで勉強しておくべきではなかったのか。


内藤ルネ自伝