日本人コック奮闘記2017/12/06 20:01

□イタリアに行ってコックになる(井川直子)

 イタリアのリストランテで修行している、日本人24にインタビューしたドキュメンタリー(2003年当時)。
 サービスを志す者もいるが、ほとんどは、日本に帰ってシェフ(料理長)を目指す若きコック達である。彼らの料理人としてのレベルは、ほとんど料理経験のないものから、日本のイタリアンでそれなりの実績を持つものまで様々である。
 共通しているのは、皆、時として、異国で暮らす苦労にめげそうになりながらも、己が夢に邁進していることと、イタリア好きなこと。
 つまり、これは、青春群像であり、読後感はさわやかである。巻末には、ご丁寧に「イタリアへの道」と題する実用的な修行心得まで付いている。
 しかし、この本の、というかこの著者の凄い所は、2015年に、彼らのその後の10年を追った『シェフを「つづける」ということ』を書いていることである。ドキュメンタリストとして、ちゃんと夢の行方を記録しているのだ。
 僕は、まだ読んでいないが、ネットで見た内容紹介によると、10年後にシェフを続けている人間は15人で、働き場所は、日本のレストラン11人、イタリア2人、シンガポール1人、中国1人であった。24人中15人がシェフとなって生き延びているのだから大したものである。オーナー・シェフもいるようだ。
 残念ながら、我が柏市近辺でご活躍のシェフはいなかった。


大川直子