キャプテンハーロック2013/09/17 23:39

□ファイナルファンタジーより面白かった。

 実写に近いフルCGアニメと言えば、思い出されるのは、2001年に(当時としては)完璧な技術でこけたスクウェアの「ファイナルファンタジー」だ。興行の失敗の原因は、リアルを追究するあまりデスマスクのようになった不気味な登場人物の表情と、よく分からんが詰まらんことだけはよく分かるストーリーだったと思う。百億円をかけたこの映画の失敗で、スクウェアは財政的に破綻しソニーの傘下に入った。
 なんとなく「キャプテンハーロック」の人物や景色の表現は、ファイナルファンタジーに近いので、ひょっとしたらその時の残党のリベンジなのかもしれない。造形と言えば、言わずと知れた松本零士の大ヒットマンガが原作であるのだが、キャラやメカの造形は、あんまり松本零士くさくない。むしろ、懐かしのSF文庫アート、加藤直之や「スタジオぬえ」ぽいのである。金髪碧眼のヒロインの顔にいたっては、武部本一郎画伯の世界のお姫様みたいだ。つまり、マンガ味が少々抜けている。
 とは言え、ビカビカした3Dメカが、なつかしの人形劇「サンダーバード」さながらに、ぎゅいーんぎゅんと動き回るので、これは面白い。
 さて、ストーリーであるが、一応主人公がキャプテンハーロックと明確なので、ファイナルファンタジーよりは、分かりやすくて楽しめる。うるさいことを言えば、宇宙海賊誕生の秘話の部分の理屈が全くないのも、SFとしてはなんだかなーと思う。僕は、SFの本質は、疑似科学的なほら話の楽しさがあると思うので、屁理屈は屁理屈なりに繋がっていてほしいのだ。論理の遊びの中に、いきなり、彷徨えるオランダ人みたいなもんを挿入されてもなあ・・・。
 ともあれ、戦闘場面も、リアル「インベンダーゲーム」で手に汗握るほどには楽しく、国産ハイテクアニメにしては、成功なのではないだろうか。
 とここまで書いたが、エンドロールでは、やたら、Kim(金)とかLee(李)とかいう名前が目立ち、実はこの作品のビジュアルの多くをハリウッド系韓国人が背負っていることが分かるのであった。彼らをデジタル・コリアン・ジブリと(勝手に)呼んであげよう。



キャプテンハーロック


 ネタバレになるのだが、この映画で本当に極悪非道な大悪人は…、なのであった。